共有する時間 共有する場所 見つけた居場所 それは誰もが当たり前に見つけるもの しかし誰もが見つけにくいもの それは微かな幸せ 誰かに自慢したいような幸せ くすぐったいこの感覚をなんと言おう くすぐったいこの感覚をなんと伝えよう 存在を常に感じる事ができる それが、今の幸せ 『共有するモノ』 共有するものそれは人それぞれであり 又、それを幸せに感じる事が出来るものもいる そして、プラントでザフトに復帰したアスラン・ザラもその一人である 壁に掛かっているカレンダーを眺めながらつい、口元が緩んでしまうのは 自分は一人ではないという事が実感出来るからであろう カレンダーに書かれたスケジュール それはアスランのものも書かれているのだが アスランと一緒に暮らしているものの事まで書かれていた それを区別しているのは自分達の頭文字 アスランは勿論『a』 一緒に暮らしている者の所には『y』 名はイザーク・ジュール アスランとは元同僚であり 今は知っている者は知っているザフト内公認の恋人同士でもある カレンダーに書かれた『a』と『y』の文字 技術の進んだ今ではカレンダーはデジタル式だったり スケジュール管理は機械でされており、アスラン達のように紙のカレンダーを持っていたりスケジュールを書いているのは珍しいと言ってもいいだろう アスラン達も少し前までは紙のカレンダーにスケジュールを書く習慣は無かったのだが とある日のちょっとした事件により、イザークがカレンダーを購入しスケジュールを書き始めたのだ そのちょっとした事件とは本当に些細なものなのだが 流石のイザークも溜め息を吐くしかない 勿論、原因はアスランなのだが 仕事ではムカツク程に隙が無いのだが、私生活ではどこか抜けている部分が多々ある 例えば、どこでも寝てしまう所とか 料理をしている最中に他の事に意識が飛んでしまうと焦がしてしまう所とか しっかりしていそうに見えても食事を忘れていた所とか… 上げればキリがない 丁度、イザークが会議で遅くなるとアスランに伝えて家を出た日も アスランも自分の仕事で忙しくその事をすっかり忘れていたようで、イザークの食事の分まで支度してしまい それまでだったら別にいいのだが、そのまま机で寝てしまい 翌日には風邪を引いてしまったのだ 確かにアスランもコーディネーターなのだから耐性はあるのだが 流石に寒くなり始めた時期で、風呂に入り そんなに寒くないかも…と暖房も着けず濡れた髪で机で寝てしまえば、いくらコーディネーターでも風邪を引いてしまうのも頷けてしまう イザークは勿論パソコンに今日のスケジュールを入れてあるのだから、アスランがパソコンを開き見れば直ぐに分かる事だったのだが その日はパソコンは開かなかったらしいのだ そしてその結果が風邪を引いてしまった イザークは怒る気にもなれずに溜め息を吐くばかりだったのだが 少し嬉しく感じてしまったのも事実であった ―アスランが自分を待っていた― その事実が嬉しかったのだ そして次の日、イザークが購入してきた紙のカレンダー これに書いて置けばいつでも確認が出来て もう、アスランがあんな事にならないようにとの配慮である 「今日からコレに俺のスケジュールを書くが、お前の分も書いておけ」 家に帰ってきた早々にカレンダーをアスランに見せながら言うイザークに苦笑を浮かべたが 書き込まれるスケジュールに何故か心が今まで以上に温かくなるのをアスランは感じていた 今日は何がある 明日はこんな事がある それを直ぐに知る事が出来るのがとても嬉しく感じるのだ 「………ん?」 カレンダーから視線を外さずに思考を巡らせていたアスランが今更に気付いた事 びっしりと書かれた二人分の予定 カレンダーに指を滑らせていきながら気付いた事が 「前にのんびり過ごしたのって…いつだったっけ?」 勿論、この部屋にその答えを教えてくれる者がいる筈も無くアスランの呟きは独り言なのだが カレンダーの書き込める部分に空欄になっている日にち等は無く、一週間…二週間………一ヶ月先まで予定が詰まってしまっている 勿論、休みも所々に入っているのだが、二人の休みが重なっているのは一ヶ月以上も先となっているのだ 互いに忙しいのだから仕方が無いと言ってしまえばソレまでなのだが、今まで大丈夫だった筈の心は 自覚してしまうと急に寂しくなってしまうものである 締め付けられるような苦しさに 今更…と苦笑を浮かべるしかないのだが、それでも心は納得はしてくれないようだ 以前であれば、これくらいの事はなんて事は無かった筈だ 寂しさを適当に紛らわす事も出来てきた アスランにしてみれば不本意かもしれないが そんな何でも我慢してしまうような性格に イザークは確かな変化を与えた 「…………」 カレンダーを眺めながらアスランは微かに微笑み それを詳しく知る為にパソコンを開いた アスランは明日は休み イザークはこのプラントで仕事 ならば、明日の予定はもう決まったようなものだ カレンダーには簡単な予定しか書き込まれてはいないが、パソコンを開けば 案外、几帳面な部分を持つイザークは細かくスケジュールが書かれているのだ 朝から分刻みで書かれているスケジュールに感心しながらもアスランが見ているのはその部分ではなく、イザークの休憩時間 当たり前だが休憩時間まで書かれているわけではなく その前後の仕事内容を見ながら『この時間は結構長く休憩してそうだ』と推測するしかない イザーク本人に聞けばいいのだが、いきなり行って驚かすのも楽しいかもしれない、と 微かに芽生えた悪戯心に細く微笑むアスラン イザークの休憩時間は推測でしかないのだから それが外れる可能性も勿論あるし、休憩時間が合っていても推測以上に短いかもしれない いや、その二つの可能性の方が高いのだが それでもそれまでの過程を思うと楽しいと思ってしまうのだ いつも色々と与えてもらうばかりで前に比べたら随分ワガママになったものだとアスランは頭の片隅で思うのだが それを嫌そうにしないイザークを見ていると自分のワガママがエスカレートしそうで怖くなってしまう時もある 今回のコレで少しでも嫌な表情をされれば少しは前のように自粛出来るかもしれないとも思うのだが それでも、やはり嬉しい顔をして欲しいと思うのは矛盾した気持ちなのだろうか…? 子供の頃に戻ったかのように心を躍らせながら、明日の事を思い眠りへと付いたのだ 「…………」 驚きで言葉が出ないのだろうか イザークは見ていた書類を持ったまま動く気配が無く こんな姿を見るのは貴重だと思いながらも、少し顔をしかめて固まっているイザークと ここに来た訪問者の顔を交互に見ているディアッカの様子を見ると 今、此処に来るのは不味かったのだろうか…とも思ってしまう 「………」 「………」 「来たら不味かったのか…?」 イザークだけではなく、ディアッカまでもが言葉を出そうとはせず 少し不安になるアスランが言葉を出せば、ハァ…―と、どこか呆れたようなイザークの溜め息に苦笑を浮かべるディアッカ 状況が掴めないアスランはクエッションマークを頭の上に浮かべるしかないのだが、溜め息の後で苦笑を浮かべるイザークを見ると此処に来てはいけなかった訳ではないようだ 確かに、いきなりアスランが仕事場に来ればイザークも驚くかもしれないが あそこまで大げさに驚かなくてもいいのに…とアスランは心の中だけで拗ねたように呟くのだが、久しぶりに向き合うイザークの姿にはやはり嬉しくなってしまうものである 微かにアスランが微笑むと帰りの支度をしたディアッカが肩をポン…っと叩くと「お疲れさん」と言いながら出て行ってしまった姿にポカン…としたままイザークに状況説明を求めるように視線を向ければ 再び吐き出される溜め息 アスランの記憶が間違っていなければ確かこの後も仕事が残っている筈だ いや、家を出る前に再確認をしたのだから間違ってはいない筈である それなのに、イザークのサポートをしているディアッカが帰ってしまうのはどういう事なのだろうか…? 「今日の仕事はこれで終わりだ」 「え?だってまだ…この後に…」 「先方から連絡があってな、都合が悪くなったらしい この後の仕事はそれ関係のものだから今日の仕事はこれで終了だ」 「なんだ…そうだったのか…」 「だが、お前が此処に来るとは思わなかったがな 仕事が早く終ったから家に電話しても留守電に繋がって携帯に電話しても此方も留守電に繋がる… どうしたのかと思えば、目の前に現れるからな 驚くなと言うほうが無理だ」 「そっか、ごめん」 「で、何か用事だったのか…?」 「いや、そういうわけじゃなくて…」 いざ、言葉にする事は躊躇われるのかアスランから出る言葉はそれも曖昧で必死に言葉を探しているようにも見られる そんなアスランの姿を眺めながら何かを思いついたかのようにイザークは意地が悪そうに微笑み 必死に言葉を探しながら視線が宙を彷徨っているアスランに静かに近付き、自分の方へと引き寄せると耳元でそっと囁いた 「なんだ、最近構ってやれなかったのがそんなに寂しかったのか…?」 「ちがっっ………わないけど…」 語尾の声がどんどん小さくなり、アスランの顔は赤く染まり 恥ずかしさを誤魔化すように視線を外へと向けていた 言葉にするのは躊躇われたのだが、此処で「違う」と主張してみても、これまでの経験上でからかわれるのは目に見えている だったらそんな事をしているよりも素直になってもいいかもしれない… そう思えるのは、最近会えなかった所為なのだろうか…? 耳まで顔を赤くしながらも出たアスランの言葉に珍しいと、微かに瞳を見開かせながらも イザークの表情は意地悪そうだが、どこが柔らかくも見えてしまう アスランが最近、逢えていないと自覚したのであれば それはイザークも同様であった 仕事の都合がアスランと合わず、休日があったとしても アスランも同じように休みだという日は最近では無かった ―少しでも二人で過ごしたい― そう思っていたのはアスランだけでは無いと言う訳だ 「…………」 外へ視線を向けたままだったアスランだったが 中々言葉を出そうとしないイザークに不安になったのか視線をイザークへと戻すのだが、恥ずかしいと思う気持ちが抜けた訳ではなく 微かに俯きながらイザークへ視線を戻せば、それは自然と上目遣いとなってしまう 本人にとっては無意識なのだろうが、もう少しはこちらの事も考えてほしいものだ…と表には出さずに胸の中で溜め息を吐いた 「こちらへ来い」 「へ?…何で…」 ほけ…と中々、自分の元に来ないアスランにイザークは焦れたのか 乱暴気味にアスランの腕を掴み、強引に自分の元へと寄せた 掴んだ腕も、自分の腕の中にある身体も軍人にしては細身の方だろう しかも、最近の仕事は多忙を極め食事をとる暇さえそんなにないのかもしれない 否、アスランの性格を考えれば食事を忘れていた…その可能性ある 前に抱き締めた時よりも明らかに薄くなった身体には溜め息しか漏れず しかし、しっかりと自分の身体は熱を持つのだから苦笑しか浮かべる事が出来ない 「イザーク…」 ようやく理解したのだろう、アスランは抵抗する事も無く 大人しくイザークの髪を指に絡ませながら抱き付くような形となり 自然に交わされた口付け 最初から舌を絡ませ ピチャリ…と響く水音にも気にならず、むしろそれが互いを興奮させ安心出来てしまうのは 互いの温もりが久しぶりの所為だからだろうか いや、今はそんな事は気にせずにこの行為に溺れるのもいいかもしれない… 静かに押し倒された机の上は、ひんやりと冷たく 思わずビクリ…っと身体が震えてしまった しかし、イザークらしいと言えばイザークらしいのだろう 倒された机はイザークの物であり、倒された時に書類が床に散らばる事は無く 几帳面に整理されている ―いつもはイザークが此処で仕事をしている― そう考えると急に恥ずかしさを感じてしまう自分に今更だ。と思いながらも 寂しいと自覚したとたんに我慢が効かなくなったように 一度、恥ずかしいと自覚してしまうと中々治まらないものだ 頬を赤く染め 無意識の内に後ずさりしているアスランに気付くと イザークはアスランの手を取り指に舌を這わせ 指先から指の間をアスランに見せ付けるように舐め上げると 唇で挟むようにアスランの指を咥えた 焦らすような愛撫に快楽はゾクゾクと背筋を這い まるで性感帯を刺激されているようで徐々に荒くなる息遣いに抗う事など出来ない 否、人間と言う生き物はやり方次第では全身が性感帯となる 舐め上げるたびにピチャ…―と鳴る水音は恐らくワザとなのだろう それを言おうにもゾクゾクと駆け上がる快楽に言葉を出してしまうと嬌声が漏れてしまいそうで声を出す事も出来ずに居た 「…っは…っっ……ハ、ぁ…」 ただ、焦らされるばかりの快楽に身を捩じらせ アスランは求めるように己の手を舐めるイザークの頬を空いている手で振れれば伏し目がちになっていた瞳は己の視線と合わさり アスランは意地の悪そうな瞳で見つめてくるイザークの額に、ソッ…と唇を押し当てた そして、それが合図かのように合わされたシャツのボタンを外され首筋に付けられた紅の刻印 白く陶器のような肌に映える紅 首筋から鎖骨…胸へと舌を這わせながら所々に紅の刻印は刻まれ、互いの熱情を高ぶらせていく スラックスの中で窮屈そうに納められているアスラン自身をやんわりとイザークに撫で上げられれば声を抑える事など出来る筈も無く 急速に高められていく快楽にアスランはただ、イザークにしがみ付くしかない 知り尽くされている身体を煽られ 痛いほどに自身が張り詰めているのが嫌でも分かってしまうアスランは 今だ直接的な刺激をくれないイザークに微かに恨みがましい視線を送るのだが 濡れた瞳では効果も無く イザークはその視線に意地悪そうに喉の奥で笑うのだ ただ、一言 強請るような言葉を投げかければいいだけの話かもしれないのだが 情事中に先程のように素直になる事など出来ず 僅かに残るプライドが許さないらしい 「……っ…ぁ、く…ふっ…」 「中々、強情だなアスラン… 先程のように素直になったらどうだ?」 「……はっ…っ…ゃだ……っっ、あ」 「……………ほう…」 何かを思いついたように笑うイザークに アスランは冷たい汗が背筋を伝い 無駄なプライドなど捨てておけば良かったと今更ながらに後悔するはめになるのだ アスランの経験上、イザークがこの表情を見せた時にいい事など無く 勿論、イザークがアスランの社会的地位を落とすような危険を犯す事はしない これからアスランが後悔する破目になる行為とは ようはアスランの気持ち次第なのだろうが 根が真面目なアスランには、どうも、無理らしい 外に面する壁は光を中へ取り込み 閉塞感を感じさせてしまう仕事場を少しでも開放的にと配慮したのだろうか 全て窓ガラスとなっており 勿論、イザークが普段、机に向かい背を向けている壁も前面が窓ガラスとなっている 外からは見えないようにはなっているが そこから見える景色に混ざる人間を見てしまうと 本当は見えているんではないだろうか…? という錯覚まで起こしそうになってしまう イザークは机から窓ガラスの方までアスランを移動させ アスランも抵抗するのだが、力の入らない身体では抵抗らしい抵抗など出来る筈も無く 冷たい窓ガラスに背を預け 力の入らない身体は座り込もうとするのだが イザークの膝と腕がアスランの身体を支え それを許そうとはしない 外が見えないだけまだマシか…と妥協するのだが イザークの意地の悪い笑みは消えてはいなかった 「っ…は、ぁ……イザ…っっ…」 再び始められた行為に流されるままに翻弄されるアスランだが 微かに聞こえるイザークの息遣いに、煽られているのは自分だけではない と、頭の何処かでは理解しているのだろうが 見た目だけでは、まだ平気そうに見えてしまうイザークに微かな怒りさえ湧いてしまう スラックスのチャックを下ろされる音に 身体はその先が待ち遠しいかのようにピクッ…と震え それは無意識な行動なのだろうが イザークの肩に顔を埋め 背中に手を回し、縋り付いている 表面上はいくら装う事が出来ても 内面までは誤魔化す事は出来ない 否、誤魔化す必要など最初からないのだが、抑えが効かなくなりそうな自分に イザークは苦笑を浮かべるしかない アスラン自身に直接触れてやれば それを待っていたように、アスランの口からは嬌声が漏れ 口付けを交わせば、自然と深いものへと変わり 互いに互いを求めていた 「っ…ん、ふ……ぅ」 熱い吐息と共に解放された唇だが 代わりのように差し出された指に アスランは舌を這わせ時折、ワザと歯を立てながら イザークの指を濡らしてゆく その間も緩められる事のない刺激に 自身からはツゥー…と先走りの液が滴り落ち 上下に動かされる度にクチュクチ…と水音を立てている そんな音さえもまるで媚薬の効果と同じ位に 二人を興奮させ、まるで抑えの効かない獣のようだ だが、今はそんな事を考えている余裕さえも無く 目の前の人物が欲しい それだけで動いているようなものだ アスランに舐めさせていた指を引き抜くと イザークは慣れたような手つきで奥で慎ましやかに閉じられている蕾に指をソッと這わした 入り口の周りを指でなぞれば その刺激に待ちわびる様にヒクヒクと収縮を繰り返している 閉じられているソコに一本指を中に入れてやれば 指を飲み込むように蠢く内壁が常にイザークに優越感を与えていた 無垢で何も知らずに穢れていなかった身体を ここまで自分を求めるようにしたのは自分自身なのだと 「は、ぁ…イ、ザ……く…んぁ…」 「……アスラン…」 「もっ…ゃだ……っっ…ふ…」 それは拒絶の言葉ではなく 止められない自身の熱の解放を求める言葉なのだろう アスランは生理的な涙をその頬を伝わせ 縋るようにその手をイザークの背に回し先を強請った それに応えるようにアスランの濡れた唇を舐め上げ 既に3本の指を咥え込んでいるソコから指を引き剥けば その瞬間にそれまで以上に離さない様に絡みついてくる内壁に イザークは背筋を走るゾクリ…とした感覚にいやらしく笑みを浮かべた 何度、身体を重ねても まるで処女のような反応に締め付け 通常ならば受け入れる箇所でない部分に受け入れさせるのだ 強めの締め付けは当たり前なのかもしれないが いつまでも慣れないような反応は常に初々しさを感じさせる 何度も身体を重ねている筈なのに その度に見せる表情はまだ穢れを知らぬ者のようだ もう少し位はふてぶてしくなってもいいような気もするが この初々しさがアスランの魅力の一つだといってもいいかもしれない イザークはアスランの身体を反転させ アスランと窓ガラスを迎え合わせのような格好にすると その体勢のままアスランの腰に手を沿え固定させた 勿論、アスランもその体勢に抵抗しようと身体を動かすのだが 快楽に酔い 力の入らない身体では抵抗らしい抵抗など出来る筈も無い 見える筈もないのに 見せ付けるように振舞われては まるで向こうからも此方が見えているような錯覚に襲われてしまう 「イザっ…ぃやだ……っっ…」 「向こうからは見えん」 「……っふ…で、も……ぁっ…やだ…っ…は、ぁ…」 頑なに拒否を示すアスランを無視するようにイザークは 痛い程に張り詰めている自身を取り出すと ヒクつくソコにあてがった あの時―アスランを窓ガラスの方に引き寄せた時―から こうしようと考え付いていたのだ 勿論、アスランが頑なに拒否するであろう事も予想済みである やめろと言われて簡単にやめるよであれば、こんな事は思い付かないだろう 一種の独占欲と言うべきなのだろうか アスランは自分のモノだと アスランが心も全てを許しているのは自分なのだと そう、主張してしまいたいのかもしれない だが、アスランがそんな事を許すはずもなく 誰かが居る場所では二人が恋人であるような雰囲気は感じさせず イザークもイザークで仕事とプライベートはきっちりと分けていた そこは二人とも理解している事なのだ しかし、時々 本当に時々なのだが アスランは自分のモノだと主張したい時があるのだ 「はっ…ぁ……あ、ぁ、あぁっっ」 ゆっくりと自分の中へと侵入してくるソレに フルリ…と身体を震わせながら じっと微かに感じる痛みと それとは別に背筋を這い上がる快楽に耐えていた 「…っ、は…ぁ…あ…っっう…」 「…はっ…アスラン…」 「ぃザ…っクゥ…んぁ……っあ…」 全て納まり、自身に絡みつく内壁にイザークは熱い息を漏らし 己の欲のままに腰を動かしてしまいそうなのを必死に耐えてしまう 確かに、これは快楽を求める行為であるかもしれないが 自分だけが気持ち良くなったとしても そんな行為は虚しいだけだとイザークは考えていた 二人で快楽を求めるからこそ 言葉は甘く 漏れる吐息は熱く 溶けてしまいそうな身体は艶やかに その全てが媚薬のように二人を快楽に溺れさせる 「ぁ、あ…っあ…ぁ、う…ふっ…っあ…」 イザークは腰を動かし始めると アスランが一番、反応を示す箇所を自身の先端で抉るように動かせてやれば これまで以上にアスランの口からは嬌声が漏れ 普段以上の色気を纏わせる 誰も知る事のないアスランの今の姿 これも独占欲と言うのだろうか 安堵感にも似た優越感は簡単に快楽へと変わり 電流のように身体を駆け巡った 今まで共に過ごした時間は色んなものを共有し過ごしてきた 嬉しさ、楽しさは当たり前だが 戦争で味わった苦しみ、悲しみも 同じ、戦場で共に戦っていたからこそ共有出来たものなのかもしれない 一時はザフトを離れ 見た目はイザークの『敵』となってしまったアスランも 今はこの腕の中にいる これから過ごす時間もそうでありたいと願い 又、そうであるのだと信じて疑ってはいない 「…んぁ…は、ぁっあ、あ……ぃ…あ…あぁっ」 「…っ…ア、スラン…」 「ィザ…っク…あっぁ、あッ、ァ…」 「……アスラン…」 「イザ…ぁ、あ…ィっ…あ…も、駄目…出、る… あ、っぁ…あぁあぁぁ―――――っっ」 「…アスラン……っっ」 アスランは白濁の液体を窓ガラスに叩き付けるように吐き出し イザークも自身をアスランの中から引き抜き 熱い欲望の証―白濁の液体―をアスランの太股に叩きつけると 重力に沿い、太股を下へと伝う 荒い息の中 イザークが腕の力を緩めるとズルズルとアスランは 座り込んでしまい、恨めしそうにイザークを見つめている 「なんだ、ヨくなかったのか?」 意地が悪そうに笑いながら問い掛ければ アスランの顔は火が付いたように赤くなり 殆ど、睨みつけるような表情へと変わるのだが 情事後の潤んだ瞳で乱れた服、濡れた身体でされても誘っているようにしか見えないのだ 「そういう問題じゃなくてこんな…!!」 「外からは見えん」 「気持ちの問題だ!!」 本気で怒り出しそうな勢いになってきた 否、既に本気で怒っているのかもしれないが そんなアスランにイザークは苦笑を漏らし 視線を座り込んでしまっているアスランに合わせると 重ねるだけの軽い口付けを交わし その行為にアスランは軽く瞳を見開くが 直ぐに瞳を閉じその行為を受け入れた 全く持って不本意だ 何でこんな奴が好きで 何でこんなに振り回されて 何でこんなに自分ばかりが照れて 何であんなに逢いたいと思って 何であんなに寂しいと思ってしまったのか… きっと最初に好きだと思ってしまった瞬間から こんな気持ちばかりだ 二人で同じ事を願って 二人で同じ風に想って 二人で色んなものを共有して… そんな関係も悪くないと思ってしまう自分も不本意で 悪趣味だ そんな事を思いながらアスランはイザークの行為を静かに受け入れ 静かに背中に腕を回した 「アスラン…」 「なに…?」 「これから何処かに出掛けるか…?」 「……その前に家に帰ってシャワー浴びたい」 「………アスラン、誘ってるのか…?」 「馬鹿か!!お前の所為で身体がベタベタして気持ち悪いんだ!!」 全く持って本当に不思議で仕方が無い 何でこんなに今の状況を安心している自分がいるのか… 不本意で 不思議で 悪趣味かもしれない… でも、これからも色んなモノを一緒に共有したいと思ってしまう |